ユッキーの紙ごはん(連載11)

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ユッキーの紙ごはん(連載11)


【「あんたが思うほど他人はあんたを気にしてない」】

ユッキー


21歳になった今、自分の外見をある程度は客観的に見ることができる。お世辞にも美人とは言えないし、地味で、でもそこそこ愛嬌はある……なんちゃって。
要は、自分の容姿に対して冷静だ。それなりに。「ブス」と言われようが「地味女」と言われようが、はたまた「冷たそう」(これが一番言われる)と苦笑されようが、まあ、そうかもしれない、そう見えるのは仕方ないと諦められる。

むしろ、上記したような直接的表現のほうが傷付かない。間接的な……たとえばこういう時のほうが、身構えている暇がない分だけ突き刺さってくる。

以前、後輩の家で宅飲みをしていて、泥酔した私はいつのまにかお風呂場で寝ていた。当然、服はびしょ濡れ。後輩にスウェットを借りて朝方まで飲み、そろそろ帰ろうかというときになると、一人が「ユキちゃん、マジあんま人に見られないうちに帰ったほうがいいよ」と笑い出した。他の人も爆笑。いざ後輩宅を出て歩き出しても、別れ際の最後の最後まで笑われた。
灰色のスウェットを着ている私の姿は、それほどに違和感たっぷりだったらしい。パジャマで外を出歩いているようなみっともなさだったんだろう。

待ってほしい。秋や冬、ギャルっぽい女の子がよくスウェットにダウンジャケットでコンビニとかにいるけど、みんな彼女たちを見て笑わないじゃないですか!

いや、わかる。だって私はギャルじゃない。あんな華やかさだとか、今っぽさだとかを持っていない。ギャルの子が着るスウェットは「それっぽい」ラフな服として他人に受け入れられても、私が着るスウェットは所詮パジャマにしかなれないことなんか、わかっている。

だから私が傷付いたのは、そこじゃない。直接「変だ」と笑われたことではなく、一人になってから、「ギャルだったらスウェットでも笑われなかったのかな? いや、私がギャルの格好をしたらそれはそれで似合わないって笑うくせに……」と、独りよがりの被害妄想に、勝手に傷付いたのだった。

ハゲを笑うのは仕方ない。カツラを笑うのは仕方ない。だけど、どっちも笑うのはいかがないものか。貧乳を笑うのは仕方ない。豊胸手術を笑うのは仕方ない。だけど、どっちも笑うのはどうなの? ブスを笑うのは仕方ない。整形を笑うのは仕方ない。だけど、どっちも笑われたら、もうどうしようもないじゃない。

「地味」と笑ってくれても構わない。だけどその代わり、なんとか地味を抜け出そうと頑張った時に、「どうしたの? 無理しちゃって」と笑わないでほしい(心の中でなら好きに笑っていいから)。
逃げ道を一つ残しておいてくれたって、罰は当たらないと思います。

……こんなふうに他人に「ひどいひどい」と喚いておいて、その実けっこう自分で逃げ道を潰していたりするから、笑えない。

※肖像写真は本人の許可を得て撮影・掲載しています。無断転用は固くお断りいたします。