小林リズムの紙のむだづかい(連載131)

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紙のむだづかい(連載131)
小林リズム

【自分の顔について】
 
一人暮らしのわたしの家のベッドの横には全身鏡がある。おかげで朝の寝起きの顔もすぐさま見ることができるし、横たわって本を読みながらでも鏡で自分をチラ見できるので、わたしはよく自分の顔と対峙しているのだった。物思いにふけって泣いているときも、ふと「自分の泣き顔が見てみたい…!」という思いに駆られて鏡をチェックしてしまうあたり、けっこうなナルシストだと思われそうだけど、実際のところ自分の顔をみるのはけっこうおもしろいもので、やめられないのだった。

 個人的にお気に入りなのはくしゃみをする寸前のレアな表情で、これはめったに見ることができない。半目状態でアゴがのびていて、見物としてとてもユニーク。同じくらいにニキビができたときも尋常じゃないくらい確認しては「えいっ」と押してみたりなんかして、余計に悪化していく過程も楽しんだりして、そりゃあ自意識過剰になるわけだった。

 しかしこんなにも鏡が欠かせないわたしが、なぜか公共の場で鏡をみることができない。たとえば公衆トイレにひとりでいるときはメイク直しができるのに、誰か知らない女性が隣に立っていると、それができない。「自分の顔になんて興味ありません」というスタンスをとりたいのと、「ナルシストなんかじゃないです」とアピールしたいのと、誰も見ていないのに「お化粧を直している姿を見られている…!」という気持ちが優先してしまうのだった。だから時代の先端を走るような恰好をした女の子が鏡で一心不乱に自分の顔と向き合っているのを見ると、その確固たる自信と自意識のなさに嫉妬してしまう。

 ひとりでマクドナルドに入って混み合っていたときにも、冷や汗をかく。「てりやきバーガーセットとポテトSサイズを抱えながら座る席を必死に探している自分」を見られたくないのだった。もし、座る席がなくて立ち往生していて、「クスクス、あの子座れないけど、どうするのかしら」みたいに思われたらどうしよう。運よく空いていた席に座ろうとして、途中で横取りされたらどうしよう。「わたしがこの席に座ろうと思ったのに…」と困っている姿を見られたくないし、いったいどんな顔をすればいいのか…、想像するだけでぞっとするのだった。

 電車も同じで、車両を変えるときに注目をあびるのも嫌だから、わたしは機嫌が良い日でないとその車両から離れない。ときどき高いヒールを履いて露出度高めの服装で、車両内を闊歩してる若いおねーさんを見かけるのだけど、あのおねーさんの気持ちはわかる。不特定多数の人に見られているわたし、に、酔える快感。わかるから苛々してしまって、あえておねーさんから目を逸らす。見ず知らずのおねーさんに対して「わたしはあなたのこと見ていないんだから」というわけのわからない主張をしたくなってしまうのだった。…とか言いつつ、服もまあまあだしメイクも成功☆…という日にはむしろそれをやりたくなって、「まわりなんて気にしてません」みたいな顔して堂々と車内を歩き回るのはけっこう気持ちがよくって、もっとわたしを見て!みたいになるあの感覚。自意識は、プライスレス!

 小林リズムのブログもぜひご覧ください「ゆとりはお呼びでないですか?」
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