日芸図書館企画「世界文学の中の林芙美子」展・本日終了

六月二十五日から開催されていた日芸図書館企画「世界文学の中の林芙美子」展(日芸・芸術資料館)は本日二十六日午後四時半をもって好評のうちに幕を閉じた。訪れた人は千人近くカウントされた。大泉黒石コーナーには黒石の四女・淵さんが鎌倉からお孫さんと訪れた。塵表閣コーナーには長野から美知子女将と栄利子若女将が訪れた。林芙美子を通して関係者と親睦を深めることができることは幸せなことである。当初、林芙美子の姪・福江さんのコーナーも準備したが、福江さんが体調をこわされたこともあり、今回は残念ながら実現しなかった。しかし、林芙美子の夫であった手塚緑敏の絵画コーナーを設けることができた。緑敏の今回展示することのできた絵画をわたしは高く評価している。今度の展示会で緑敏絵画に新たな照明が与えられることを願っている。林芙美子と東南アジアのコーナーは山下聖美准教授が担当した。玄人筋のひとたちに注目されたコーナーで、林芙美子記念館のガイドも務める小学館小野綾子さんは二度も訪れ、熱心に展示された資料に見入っていた。林芙美子と映画に関しては田島良一教授・図書館副館長が担当し、「放浪記」「浮雲」に的確なコメントを寄せている。わたしは林芙美子の作品に記された小説家および作品を抽出し、短い注釈をつけた。今回の展示によって、いくらかでも林芙美子文学の再評価につながれば、それにまさる喜びはない。



図書館長室で塵表閣の芳名録を見る小野さん。

展示を片付ける学芸員実習授業受講生たち。