小林リズムの紙のむだづかい(連載107)

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紙のむだづかい(連載107)
小林リズム

【夢は売れるのか】


「え〜、ホントですよぉ。○○さんは素敵です」 
 ”夢を売る”ということについて考えていたのだけど、「わたしたち、お客様に夢を売っています!」という名目で一番初めに思い浮かんだのがキャバクラだった。どんなに下品でいやらしいお客さんでも、イライラとした表情を出さずに楽しく過ごせる時間を、売る。「紳士的」とか「素敵」って伝える。
 オジサマからしたら露出の高い女の子が自分の話を笑顔で聞いてくれて、お酒も注いでくれて、自慢をしたらホメてくれて、愚痴を言っても寄り添ってくれる。そりゃあ夢のような時間だなぁと思う。もちろん売ったぶんの報酬はしっかりいただくというシステムもきちんと整っている。

 そしてもうひとつ。夢を売るといってハズせないもののひとつにアイドルがあると思う。純情可憐、誰にでも分け隔てなく優しく明るく、ときに落ち込みながらも一生懸命にひたむきに、諦めずに突き進むその視線にファンも勇気をもらう。もっとも具体的に売っているものといえば、特定の人のものにならない、誰かの色に染まらない「純情」という商品だと思うのだけど、それについてこの間こんなツイートをみかけたのだった。

なぜ清純派アイドルが写真誌に撮られちゃいけないのか。それはお寿司にたとえるとわかりやすい。どんなに旨い寿司を握る板前さんでも「さっきウンコしましたけど」と言われたら、そんな寿司は誰も食いたくないのである。

 アイドルが写真誌にとられることと、板前さんがトイレに行ってお寿司を握ったと報告うすることは同等らしいその前提が気に食わなくもあるのだけど、それでも「なるほどなぁ」と思ってしまった自分もいたのだった。
 板前さんは「ウマさ」が売りだし、アイドルも「純情さ」を売りにしているのなら、そこの雲ゆきを悪くすると信用をなくしたり評価がさがったりするのは仕方ないことなのかもしれないなぁと思うのだった。やみくもに「アイドルなんだから恋愛しちゃいけない!」と言っているのではなくて「(純情を自分の商品として売っているのなら)恋愛しちゃいけない!」ということなのだった。
 過去のスキャンダルを元彼に暴露されてしまったにも関わらず指原莉乃さんが1位になったのって「純情さ」を売りにしていたかではなくて、「ヘタレキャラ」を売りにしていたからなのかもなぁとか、思うと、感慨深い。

 ”夢を売る”っていうのは、つまるところ刹那的な快楽の時間を与えることに思えるのだけれど、そもそも夢って売れるものなのかしら。キャバクラにしてもアイドルにしても“夢を売る”のは、「嘘をついて騙す」とか「本当のことを隠す」ということと、どうしても同じになるときがあって、売り物としてみるには曖昧すぎる。
 そしてスポーツ選手なんかは「夢を売る」のではなくんて「夢を与えてくれました!」って表現をされることが多くて、そこには嘘とか騙すっていうことはあんまり存在しない。本当のところ、努力や夢って商品にならないのかもしれないなぁと、思うのだった。
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