星エリナのほろよいハイボール(連載7)

星エリナのほろよいハイボール(連載7)


ラーメンを一人で食べる                                           

星エリナ

 私の地元川越はどうやらラーメン激戦区だったらしい。川越にあるラーメン店特集の雑誌が出たりするくらいだ。確かに駅前の店は行列ができていたりする。好んでラーメンのために出かけたりしたことがなかった私も、最近は少し興味が出た。なのでさっそく調べてみた。
 川越、ラーメンで検索。グルメサイトがヒットする。いくつかラーメン店が出てきた。川越駅から徒歩二十分なんて当たり前。調べていくと川越駅の隣の駅から徒歩十五分とか、それ以上遠いところもあった。たかだかラーメンのために徒歩二十分とか絶対に無理。そんな私にぴったりの店が、見つかった。川越駅から徒歩一分。鶏そば専門店。うん、なかなか美味しそう。さっそくお昼に行ってみた。駅の真横にあるこの店はサラリーマンでにぎわっている。私は一人でカウンターに座り、濃厚鶏そばをいただいた。ランチのサービスで味付きたまごもついてきた。
 白っぽいどろっとしたスープは確かに濃厚で美味しい。あぶられた筍が添えてあり、私が想像していたラーメンとは少し違ったがとても満足だ。そして何より味付きたまごが私を虜にさせた。白いゆでたまごとなんら見た目は変わらない。しかし、しっかりと味がしみていて、黄身はとろりとあふれ出る。普通のゆでたまごだと思ってすいませんでした、と謝りたくなった。
 こうして私は時々一人でラーメンを食べに行くようになった。ちなみに、初の一人ラーメンでは気づかなかったが、女子一人でカウンターに座りラーメンをすすっていると、他の客にちらちら見られる。そういった視線を気にしてしまう方は友人と行くことをおすすめする。

 さて、一人でラーメンを食べるシチュエーションは他にもある。みなさんはいつ食べるだろうか。私は最近、家で食べている。それ自体は普通かもしれないが、私が食べる時間は朝だ。
 前日の夜、お酒を飲みすぎた日はたくさん寝ても起きたらなんだか気持ち悪い。二日酔いに良いのはしじみのお味噌汁と聞いたことがあるので、まずお味噌汁を飲むようにしている。だんだんとお腹が空くのだけれど、いつもみたいに食パンも白米も食べたくならない。
 そんなときに私はインスタントラーメンをつくる。ぼーっとした頭のままでつくるから、いつも具無しの素ラーメン。麺だけをずずずっとすする部屋着姿の自分はなんだかみっともないのだけれど、少しだけ大人になったようにも感じた。こういうかっこ悪い部分も、五年くらい前までの自分が憧れていた大人だったりする。

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