小林リズム紙のむだづかい(連載16)

本日は午後四時過ぎにわたしがはじめて担当したゼミの学生であった橋本さんが図書館長室を訪れた。約三十年ぶりにお会いした。当時のことが鮮明に思い出された、つもりになっていたら、今やまったく記憶に残っていないような話もでて、三十年の空白を改めて感じた。

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紙のむだづかい(連載16)


小林リズム

◆ミート・スティック
「うちの犬はね、お父さんが肉棒をあげると喜ぶんだよ」
と私が言ったときの友人の表情は今でも鮮明に覚えている。半分笑っているような、でも鼻あたりにシワがよっていて思いっきりドン引いていた。私はなぜそんな顔をされるのかわけがわからず
「でもお父さんは肉棒を見せびらかすだけで、なかなかあげないんだよねぇ」
と詳しく説明した。友人は絶句してしまった。しばらくして苦笑しながら私にいくつか質問をし、丁寧に肉棒の意味を教えてくれたことは今でも感謝している。
 実家で飼っているメスのミニチュアダックスはそのミニという言葉が似つかわしくないほどに逞しく、甘えてきたり尻尾を振って近づいて着たりして可愛い。そんな彼女の好きなおやつは、ミートスティックという鶏のササミを棒状にしたものだった。父がそれを肉の棒だからと安易に肉棒と呼んだために、私は「なちゅ(犬)の好きなおやつは肉棒!」とよく話していたのである。思い返せば、好きな人と愛犬の話題にのぼったとき、「うちのお父さん、犬のこと溺愛しているからさぁ。肉棒あげすぎちゃうんだよね」というようなことを言ったことがあった気がする。あの恋愛が成就しなかったのはそのせいなのか?とんでもなく変態な一家だと思ったのだろうか。家庭環境を疑われたかもしれない。
 そういえば高校のとき、先生が「物を知らないっていうのは、恥ずかしいことです」と言っていたことがあった。ちょうどおバカタレントがお茶の間を賑わせている時期で、私は「物を知らなくても楽しければいいんじゃない?」くらいに思っていたのだった。先生、あのとき言っていた言葉が身にしみます。やっぱり、物は知っているに越したことはないですね。