誕生会

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清水正の著作   D文学研究会発行本   グッドプロフェッサー
昨日二月八日は私の誕生日。おそるべきことに六十三歳となった。少年老い易く学成り難し。やるべきことは山ほどある。やればやるほど謎は深まる。パゾリーニの『アポロンの地獄』論はいつの間にか『オイディプス王』論となり、いつ終わるとも知れない。運命と人間の意志をめぐって。何か得体の知れないものの意志を感ずるが、それはその姿を現すことはない。所詮、人間はわけもわからずこの世界に誕生し、なんで誕生してきたのかもわからず、やがていつかは死んでいかなければならない。時間とは、存在とは、運命とは、神とは──。毎日そんなこんなを考えながら執筆活動だけは続けている。かつてなんで書くのか、と思ってむなしくなったこともあったが、今はただ書く、書き続けて神が秘め隠した秘密を知る日が来るとは思っていないが、ただ書く。ドストエフスキーは満五十九歳でなくなった。気がつけばドストエフスキーの歳を越えた。『白痴』論七十枚を書いたのが十九歳の時、それから四十数年、未だにドストエフスキー論を書きすすめている。去年三月十一日の大地震で書斎の本が崩れ、整理に丸四日もかかり、本を出すのが億劫になった。それでも『「浮雲」放浪記№1』(Д文学研究会)一冊だけは刊行したが、これは私家版で市販していない。自分でD文学研究会を主宰し著書を刊行しているので、今、本、特に文学書や専門書がいかに売れないかを実感している。それに学生がびっくりするほど本を買わない。本は借りて読むものだと思っている学生が大半である。それでも今年は少しは元気を出して『清水正ドストエフスキー論全集』の第六巻『『悪霊』の世界』は出そうと思っている。本日、平岡敏夫先生から『佐幕派文学史福沢諭吉から夏目漱石まで─』(2012-2-10 おうふう)が送られて来た。「樋口一葉─『罪と罰』と『にごりえ』」の論文が収録されている。樋口一葉ドストエフスキーに関する最初の本格的な論文で、教えられるところが多い。平岡先生の精力的な研究活動に接すると弱音などはいてはいられない。昨日は、元気いっぱいのアグレッシブな女性たちに誕生会を開いていただいた。感謝申し上げます。