装丁デザインの類似

清水正への原稿・講演依頼はqqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。
ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演を引き受けます。
ここをクリックしてください エデンの南   清水正の林芙美子『浮雲』論連載    清水正研究室  
清水正の著作   D文学研究会発行本   グッドプロフェッサー
昨日、大学からの帰り、池袋のジュンク堂地下一階のマンガ本コーナーに立ち寄って書棚を見ていると丸尾末広の「キンランドンス」(青林堂)の背表紙が、森嶋則子さんがデザインした「日野日出志研究」と似ていることに気付いた。いったい誰がいつ装丁したのか、と思い、本を手にとったが、ビニールで包んであり奥付を確認することができなかった。家に帰って小山のように積まれた本を眺めているとぐうぜん「キンランドンス」が目に飛び込んできた。手に取って奥付を見ると発行は平成20年2月、装丁は原孝夫であった。森嶋さんは原孝夫の愛弟子でデザインにも深く関わっているので、この背表紙のデザインも森嶋さんのアイデアかもしれないと思い、さっそく森嶋さんに電話して確認したところ、まったく記憶にないということであった。「日野日出志研究」は一昨年の平成22年に依頼したもので、その際、森嶋さんは三ヴァージョンの装丁を持参、わたしはそのうちの一つを選んだ。実はほかのものが一番人気があったのだが、わたしは敢えてそれを選んだ。何か感じるものがあったのだ。森嶋さんは「原さんが生きていれば、日野日出志さんの装丁は彼が一番やりたかったのに」と言っていた。森嶋さんに原孝夫が乗り移ったのかもしれない。原孝夫が五十三歳で無念のうちに他界してから三年になる。時間のたつのはあまりに速い。が、人間の情念は生き続ける。「日野日出志研究」に、原孝夫は愛弟子森嶋則子のデザインを通して確かに関わっていたのだ。

原孝夫装丁(左) 森嶋則子装丁(右)


ここをクリックしてください。原孝夫・想い出のアルバムへとつながります。http://www.shimi-masa.com/neo/archives/2009/07/post_273.html#more