藤子・F・不二雄ミュージアムと岡本太郎美術館を訪ねる

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本日は正午に藤子・F・不二雄ミュージアムを訪ねた後、岡本太郎美術館を訪ねた。平日だというのに登戸の駅は〈ドラえもん〉目当てのひとが大勢集まっていた。十分おきに出ている専用バスは満杯状態。子供連れの母親、若いカップル、若い女性グループが大半。還暦を過ぎた老人は私以外にはだれもいなかった。来年は日野日出志さんを中心にしたマンガの展示会とカタログ制作を予定しているので、藤子・F・不二雄ミュージアムの展示は大変参考になった。童心にかえって会場内を時間を忘れて歩いているうちにたいへん疲れた。カフェでドラやきとコーヒーを飲んで息を吹き返し、タクシーで岡本太郎美術館を訪ねた。紅葉が美しく、空気もきれい、杉並木がすばらしかった。太郎美術館で岡本太郎の作品に接していると、彼の子供のような遊び心と自在な精神の躍動を感じるが、同時に母親との深い確執のエネルギーの迸りも感じる。太郎の立体作品は見ていると直接触りたくなる衝動にかられる。オブジェの前には「作品には触れないでください」とかいてあるが、作品自体は触れられることを望んでいること間違いない。太郎の作品はじかに見ると暖かい、接触を求めるオーラが熱く放射している。企画展示室には「芸術と科学の婚姻─虚舟─」展が開催されていた。土方巽大野一雄大野慶人など日本を代表する暗黒舞踏家の名前もあり、懐かしい感覚にも襲われた。岡本太郎がかつて「坐りにくい椅子もあっていいだろう」と言っていたのをテレビで聞いたことがあり、なにを小癪なことを言っているのかと思った。椅子は限りなく座り心地がいいものがいいに決まっているからである。何百年の歴史を持つフランスの椅子職人の技術を伝える番組を観たときには心から共感を覚えた。そんなこんなを思いながら太郎の椅子のオブジェを見ていたが、見ているだけで暖かさを感じる。色といい、形といい、感触といい、実に気持ちがいい。坐ってみると、ずっと坐っていたいほど坐り心地がいい。太郎の椅子はまったく人を拒んでいない。太郎の暖かさをからだ全体に感じた。美術館を訪れた際にはぜひ太郎の「坐りにくい椅子」に座ってみてください。太郎の原寸大の写真が立ててあるが、思ったより身長が低いことにも愛きょうを感じた。午後五時、タクシーで登戸の駅に戻る。駅近くの居酒屋は抜群のサービスと料理で、一日の疲れをいやしてくれた。