清水正・ドストエフスキーゼミ課題

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清水正ドストエフスキーゼミ課題
平成23年度夏期課題
ソーニヤとプリヘーリヤの関係って面白い
櫻井はるひ
 夏休み課題は通常の出題と形式が若干異なっており、より細密にテーマが固定されています。つまり今までのような「○○について」のようなお題よりも自由度がだいぶ低いわけです。特に今書いている「ソーニャとプリヘーリヤの関係って面白い!」という課題には頭を悩まされました。別段面白いと思って彼女らの関係を見てきませんでしたし、文を書くためにあれこれ考えても別に面白く見えてこない。そもそも絡みという意味での関係で考えれば二人の直接接触回数はとても少ない。
 そういった場面での二人の〝関係〟を表すならば、彼女らは嫁姑の関係に近いのだろうと思います。私はソーニャとラスコーリニコフが終幕で互いの愛を確信するシーンに至る前から、勝手に二人は男女の仲になるものと決め付けていたのでずっとプリヘーリヤとソーニャの関係はそんなものだろうと受け止めていたのですが、嫁姑といえばやはり得てしてうまくいかないもので、ここでもそのご多分に漏れずその二人の間はギクシャクしているようです。もっともこの嫁姑関係はプリヘーリヤが勝手に「息子に悪い虫がついたのではないか」と気を揉んで意識しているだけで、ソーニャ側から見れば全然そんなこともないもののようですが。
 しかしラスコーリニコフの前の結婚騒動のことを考えればプリヘーリヤの息子大好きっぷりを差し引いても彼らの関係を母親が心配するのもわからないでもありません。そのとき彼は、ほとんど自分の住むところを失わないが為におかみさんの娘と結婚せんとしていました。アフドーチャといい何かと実益の為に身投げをするようなプリヘーリヤの子供たちですが、そう考えると、ラスコーリニコフがソーニャに接近した理由はなんだったのでしょうか。やはりそこに何かの利益があるからなのでしょうか。
 私が思うに、ラスコーリニコフにとってソーニャの存在は「出口」であったのだと思います。それは単純に罪を告白し、先延ばしにしている自分への罰をもたらしてくれる存在という意味でもあり、またもう一つには「母親から自分を解放するための出口」でもあるのではないかと考えます。作品内でのプリヘーリヤは、ラスコーリニコフに先へ進むことを躊躇わせる、罰を受けて生まれ変わることを阻む存在であり、また単に自らを縛りつける古い存在です。それに対しソーニャはラスコーリニコフに罪を告白させる気を起こし、彼に自首するよう強く勧め罰を受けた先にある未来へと進ませる存在であったのではないでしょうか。彼は作中でプリヘーリヤに会った直後、よくソーニャに接触します。それは自分を、自らが犯したことを含めた古い過去から切り取り、新たな世界へと進もうとする意志の象徴であったのかもしれません。
 こういう視点で見ればソーニャとプリヘーリヤはまさに対極にある存在ともいえますが、彼女らは共通点の多い人物同士でもあるのでしょう。互いに信心深く心配性な性格であることはもちろん、プリヘーリヤは女手一つで子供たちを育て、ソーニャもまた作中にて両親を無くし四人兄弟の長女として、これから残りの三人の小さな子供たちのよりどころとなっていく事になるのでしょう(孤児院に入れられるので実質世話をする必要はありませんが。)。二人は作中では二つの大きな「母」であったのではないかと思います。教授の話によれば母の束縛から逃れんとしてラスコーリニコフは遠く離れたロシヤの地に来たことになりますから、プリヘーリヤは彼の心を抑圧し人殺しの人格を生んだ「母」であり、ソーニャは彼を罪人から再生させ生みなおした「母」となるわけです。いずれにせよ全く反対の意味を持った存在ではありますが。
 なんだかんだ考えにふけりつつ書いているうちに件の二人がラスコーリニコフの進路にとって意外なほど重大な役割を担っていたであろうという説がなんとかできたのですが、未だわからないところがいくつかあります。
前の話とは別に、ソーニャはプリヘーリヤが誰の助けも借りずにわりと全面的に否定的な態度を取った数少ない相手です。その際、(初めてラスコーリニコフの部屋でソーニャと鉢合わせた後)「私は思ったのさ何かのもとはここにあるんだって」と彼女は語っていたのですが、私はここの台詞がなんの物事に付随しているのか、「まぁ見てらっしゃい」と何度も念を押しているところを見ると、単に彼女の思い込みというだけではなく何かしらの意味があるように思えるのですが見当がつきませんでした。そしてもう一つ、ラスコーリニコフが直接プリヘーリヤに会う最後のシーンにて、プリヘーリヤがその存在を0恐れていたソーニャに対し「それからソフィヤ・セミョーノブナも一緒に連れて行ってもいいよ。そうする方がよければね。私はね、あの子を喜んで娘の代わりにでもしますよ」とソーニャを認めるようなことを言った意味もまたよくわかりません。実際ただの深読みで、ただプリヘーリヤが彼女に対して持つ不安感を表しただけのものかも分かりませんが、私の読み解けていないところでまだ彼女たちには複雑な関係が横たわっているのではないかという可能性を感じました。


ポルフィーリイって何
櫻井はるひ

正直この課題を出された時、私は「ポルフィーリー・ペトローヴィッチって誰」と 頭が真っ白になりました。本編を読み返す前にネットで検索してみたところ、ペトローヴィッチと名前のつく登場人物がこの作品には三人いるらしく、どうも初め読んでいる段階でその辺りがごっちゃになっていたらしいのです。加えてラスコーリニコフがザミョートフと戦うシーンとポルフィーリーとの駆け引きを行うシーンなどが頭の中でどっちがどっちのものだか分からなくなっており、自分の中ではすっかりポルフィーリーの名前が消えていたわけです(ペトローヴィッチといえばイリヤーかピョートルだけのような気がしていた)。そういった経緯があって「ポルフィーリーはそんな二千字も書けるような濃いキャラクターを持っていただろうか」と思いつつ罪と罰を開いてみたところ、なんと何ページにも渡ってほぼ台詞だけでページを埋めているようなとんでもない大物ではありませんか。
 しかしこの人物、登場シーンを抜き出して読んでみてもなぜかすとんと頭の中に落ちてこない。なんというか、キャラクターに別段魅力があるように思えず、意識に固定するだけの要素を持っていないように感じます。理由として「弱点が見当たらない」ということが一つあると考えます。とある講義の受け売りですが、キャラクターを組み立てるときは要素をごてごてと添加していくのではなく、一つ特別なところを残して平凡な状態から要素を差し引いていく方が消費者にウケる人間ができるのだそうです。感情移入しやすいからだとかいじりやすくなる(多くの消費者が何かしらの表現技術を持っている現代日本において言えば、二次創作がしやすくなる)など理由は様々ありましょうが、彼の欠点といえばラスコーリニコフに同じくたまに突沸してしまうところぐらいで、しかもそれですら彼はラスコーリニコフと違ってある程度しっかり自制が利くようですから、この点で言えばまさに彼は非・魅力的なキャラクターだといえると思います。
 しかし謎の鉱物以外に弱点がないスーパーマンや、学術的知識に明るく頭が切れて格闘までできるホームズ探偵が大ヒットキャラクターになったように、彼・ポルフィーリーの完璧超人という要素も場合によれば主人公級の魅力あるキャラクターとして考えることができたのかもしれません。もっとも彼が登場する作品が『罪と罰』では難しいことなのでしょうが。
 罪と罰の主人公はステレオタイプからよりはずれたキャラクターを持つものが務めることが多いと聞きました。逆に主人公になり得そうな人物が狡い描かれ方をされるとも聞きます。教授がおっしゃられるにはピョートル・ペトローヴィッチのような人物がそれに当たるとのことでしたが、私はポルフィーリィ・ペトローヴィッチもの方がまさにそれに当たる者のように思われます。彼はまさに探偵小説の主人公のステレオタイプを体現したような存在です。イヤミで的確でどことなく変人じみた食えない空気をまとっている男です。ラスコーリニコフと初めて顔をつきあわせた時から大胆にズバズバ核心に迫ってくる態度は、まさにヒーロータイプの主人公のものです。彼を主人公の位置に置けばドラマ「相棒」のようなハードボイルドな探偵ものになっていたかも知れません。あれは刑事ドラマですが。
ところでこのポルフィーリーが他の登場人物と比べた時に明確に特殊なのは、紆余曲折を一切しないところではないかと思います。ラスコーリニコフが人を殺めたというこのお話の本筋においてラズーミヒンやなんかが感情的に疑ったりするなかで、まさに(シャーロック・ホームズのような)古典的な名探偵のごとく狙いを定めた獲物をじわじわと逃げ場をなくしつつ追い詰めていく姿は、作中では役回り上 嫌味に書かれていますが非常に気持ちのよいものです。そういった役を貰っている点で彼は他の登場人物とは異なったステージに立っているといえるかもしれません。
ここで課題文の「ポルフィーリーって何?」ということになりますが、私は、彼はいわば物語を推し進める促進剤として機能しているものだと思います。もしくは、彼・ポルフィーリィは「登場人物」というより、人々を一つ上の高次元から見下ろして客観的に取り扱うような「ストーリーテラー」あるいは「(物語における)神=作者」の位置に近い存在かと考えます。
そしてこれが、私が彼を魅力的な人物と思えない原因の真髄であるのではないかと考えます。つまり彼はそもそも「作品の登場人物」として適切に造られていない、放送業界やなんかで俗に「天の声」と呼ばれるような存在として造られたものだからではないかと思い至ったのです。彼もきっと裏では推理やらをしているのでしょうが、そのリアルタイムなシーンが一切作中で描写されていないと、急に出てきて いきなり核心突いちゃうみたいなご都合主義とも取れる風に見えなくもない。主人公格ではないので当然といえばそうですが、ウィキペディアの「罪と罰の登場人物紹介」の欄の上から三番目に名前を連ねるようなキャラクターならばもっと登場人物らしく、せめてピョートル程度には掘り下げて描いてもらった方が愛着はもてただろうと思います


マルメラードフの告白について

渡部菜津美

正直、最近論文ばかり書きすぎてなんだか気持ちがあまりうかないんですよね。だから今回はちょっと書き方をかえてみます!
ずばり、自分がラスコールニコフだったら!
私自身がラスコールニコフの立場になり、マルメラードフの告白を聞いたら何を考えるかを物語風に書いてみたいと思います!
 ラスコールニコフとマルメラードフは酒場で出会います。
そして、一目みてラスコールニコフを気に入ってしまったマルメラードフは今の生活環境やそれに至るまでをすっかり話して聞かせます。
それでは、渡部なつみ版。罪と罰のはじまりはじまり。


なんだろう。先ほどから視線を感じる。
そこはひどく古い酒場の中で、何人かの荒くれ者はすでに酒に呑まれていた。
ちらりとそちらに視線を投げかけてみるが、どうやら違うみたいだ。
では一体どこから……。そい思いまわりを注意深く眺めると、いた。
退職官吏らしい風采の男がこちらを見ている。
なんだかひどく話しかけたそうな顔をしていると思いきや、こちらに近づいてくるやいなやとなりのカウンターに腰掛けたではないか。
「まことに失礼ですが、ひとつ話し相手になってくださいませんか?」
いやいやいやいや。初対面でいきなりなんなんだ!
しかもその身なり!頭がはげ上がっているうえに、酒浸りで黄色くむくんだ顔が少し青ざめている。赤く光る目には、深い喜悦の色と同時に狂気じみたひらめきさえみえる。
こいつは危ない。絶対関わってはならない人間だ!
「いやぁ。あの、申し訳ないんですが私たち初対面ですし……それにどうして私なんですか?」
「そんなこと決まっていますよ。あなたは身なりはひどいですが、教養のある人間だということは一目でわかるからです。」
たしかに私の身なりはひどい。しかしあなたには言われたくない。と心の中で小さく毒づく。
「私はね。九党官だったんですよ。あ、失礼な前を申し遅れましたね。私、マルメラードフと申します。」
「あ、渡部です。」
とても不本意だが、相手が名乗ってきたら自分も名乗るのが礼儀だろう。
「失礼ですが、お勤めですか?」
「いえ、勉強中です……」
何を隠そう日大芸術学部の学生だ。
「すると学生さんですな!」
彼の言葉に小さく頷く。
「そうですかそうですか……」
喋り方からして彼は大分酔っていた。しかしどことなく口調はしっかりとしている。
これはまずいことになった。一刻も早く会計をすませてここを出なければ。
「それじゃぁそろそろ私は……」
「なぁ、あなた」
彼の一言で私の言葉は見事にかき消された。
そしてその瞬間私は思った。おわった。
「貧は罪ならず、これは真理ですよ。飲んだくれることが善行じゃないくらいのことくらいは、私だって知っています。でもね、貧乏もどん底になるとねぇ。」
私はあきらめて、彼の話を大人しく聞くことにした。
「いいですか。どん底というのはね罪悪ですよ。立ち直れないんです。なんせ、人間社会から箒で掃かれて追い出されてしまうようなものなんですよ。」
ほう。なるほどなぁ。しかしそこがどん底だと一体誰が決めるのだろう?
口を挟もうかと思ったが、マルメラードフはつづけて話し始めた。
「これだけの辱めをうけたらね。飲まずにはいられないんですよ。」
「はぁ。すいません……。ちょっと私にはそこで酒浸りになる理由がよくわからないんですが……」
「私にはね、家内と子供がいるんですよ。」
どうやら私の言葉は耳に入らないらしい。仕方がないのでそのまま話を聞くことにした。
「気が強い家内でね。なんせいいところの出なもんで。私が職を失ったときなんてひどい暴力でした。いやもちろん殴られて当然ですからね。私は全然いいんですよ。しかし娘がね。心の優しい子なもんで、体を売って生活資金を稼いできてくれるんですよ。」
は?なんだって?
「それに比べて私なんかね。再就職先が決まったのに、辞めてしまいましたよ。仕事。それでそのまま酒浸りです。家には帰ってません。」
何言ってるんだこの人は?
「今頃家では、下の子供たちが女房の暴力に怯え、腹をすかせて泣いていることでしょう。まったく。私はクズですよクズ。」
ぷつん。私の中でなにかが切れた。それと同時にグーの形の手が相手の顔めがけて飛んでいった。
バキっという鈍い音とともに、マルメラードフはイスごとひっくり返った。
鼻が変な方向に曲がっている。
「ふざけないでください。」
怒りで声が震えた。
「守るべきものがあるのに、なんで逃げるんですか!理屈ばっか並べてないで、自分のしなきゃいけないことしてください!自分のことクズだのなんだの言うひまがあるんだったらがんばってくださいよ!」
そう叫んで、現金をおいて店をでた。
すごくムカムカした。なんて人間だろう。自分を甘やかして、大切なものを犠牲にして。
私のパンチで少しでも目が覚めればいいけど……。


そうして私は店をあとにした。マルメラードフを後に残して。

この物語はもちろんフィクションです。


もしもラスコールニコフが恋人だったら

渡部菜津美

ラスコールニコフといえば
容姿端麗、頭脳明晰。
運動神経がよければなおよいが、タイプではないと言ったらもちろん嘘だ。
しかし、なんと言おうと忘れてはならないのが、殺人者だということ。
ごめんなさい。
どんなに頭がよくてどんなにかっこよくてどんなに運動神経がよくても、例えばそれが岡田准一並みだったとしても殺人者とはお付き合いできません。
というわけで、私がラスコールニコフの恋人になることは、岡田准一くんの恋人になるくらいありえないのです。
しかし、2000字のレポートなわけなのだから、お付き合いできないで完結させるわけにはいかないだろう。
さて、何を書こうか。
うーん。
ここは題にそって、ラスコールニコフが恋人だったらどんな経験をして、どこまで耐えられるのかをひたすら書くことにしよう。
ただ、殺人前のラスコールニコフということにしたい。
いくらフィクションだとはいえ、殺人者とお付き合いするのは嫌だ。
それでは、想像していきたいと思う。
 ラスコールニコフは美男子なわけだから、もちろんみんなに自慢できる。しかも頭もいいわけだから、有名一流大学をでて、一流企業につとめて社長。もしくはお医者さん。その他いろいろ。
お金持ちだって夢ではない。
そう考えると、ラスコールニコフと付き合うのも悪くないかなぁ。なんて思ってきてしまう。
いや、しかし実際大事なのはやっぱり中身。
ラスコールニコフは果たして自分を大事にしてくれるだろうか。
 例えば、私はデートのとき鞄を持ってくれる男の人が理想だ。
なかなかいないけど、なかなかいないからこそ理想をもたっていいじゃないか。ラスコールニコフが鞄をもつ……。
「どうして将来有望のこの僕が君何ぞの鞄をもたなきゃならないんだ。君は世の中に必要ないから殺そう。」
うん。その場で殺されそうだ。鞄を持ってもらうのは無理。
まぁでも。鞄をもってくれないからってお別れはしない。
次いこう次。
 やっぱり「今日は僕のお金で素敵なランチをごちそうするよ!」とか言われてみたい。いや、あくまで理想ですから。
ラスコールニコフがランチをご馳走……
「ランチ?僕にそんなお金あるわけないだろう。むしろ君が奢ってくれ。」
いやまぁ確かにそうですよね。なんてったって貧乏学生。
いやいやでも!今お金がないからって支えないほどうちはひどい女じゃありません。付き合っているからにはお互いが頑張らないとね!
次々!
 やっぱり女の子ですから。
サプライズとか嬉しいよね!しかも誕生日なんてなおさら!
ラスコールニコフが誕生日にサプライズ……
「え。今日誕生日だったんだ!おめでとう。それじゃあ僕は勉強があるから!」
むしろ逆サプライズ。
いやぁでもね。たかが誕生日ですよ。もう19歳だし別にそこまで重要視しないしね。それに彼が勉強熱心なのはとてもいいことだし!
まだまだこんなもんじゃ諦めません。
次だ次!
 やっぱりいちばん重要なのは勇気!いくら力がなくたって不良に絡まれてたら全力で助けてほしいなぁ。何度も言いますけど理想ですよ。
ラスコールニコフが不良と喧嘩……
「ちょっと君たち何しているんですか。警察呼びますよ。あ!ちょっとそこのお巡りさんちょうどいいところに!こっちきてこっち!」
うん。いや、助けてくれるけど……なんか理想と違うなぁ。
いやでもね。高望みはよくないね。お巡りさん呼ぶのなんてむしろ利口な考えだし!まだまだ別れる理由にはなりません!
次いこう!
 やっぱり男の本当の優しさは、自分が傷ついて泣いているときにいかにして慰めてくれるかですよね。ここは本当に大事!
ラスコールニコフが慰めてくれる……
「どうして泣いてるの?なにかあったのかい」
あぁ。やっぱりラスコールニコフはいざとなったら本当に優しいんだなぁ。やっぱりいい男だ!
「ん。僕は何をやっているんだ。」
え?
「こんな女僕になんの関係があるんだ?放っておこう!どうたっていいじゃないか!僕にはやるべきことがあるんだ!」
あぁ。
やっぱりそうなっちゃいますか。
これはもうダメですね。お付き合いできません。
一瞬味方になっといて落とす。もう最低ですね。
それに彼女にむかってどうだっていいとか言っちゃうところ。
もうこれはお付き合いしている意味ですね。
もうこれは理想とかそういうレベルの問題超えてますから。
所詮やつには老婆を殺すことしか頭にないんですよ。



結果、ラスコールニコフはイケメンでも中身がダメでした。
うちには向いていません。
きっと誰にも向いていません。
そして、男はやっぱり顔より中身ですね。

ラスコールニコフさん。
次生まれ変わってくるときには、どうかそのままの容姿でソーニャみたいな心をもって生まれてきてください。
そうすればきっと、今人気のチャン・グンソクに負けず劣らずのアイドルになれることでしょう。
そして、そのときはぜひまた私とお付き合いしてください。
結婚して私を玉の輿にしてくださいね。