林芙美子研究取材のため長野へ(連載1)

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六月二十五日は午前九時過ぎ上野から新幹線で長野へ向かった。今回の研究旅行の目的は『梅は匂ひよ、人は心よ──信州を愛した林芙美子』の著者で画家の山本秀麿さん を訪問して取材すること、 「塵表閣」の美知子女将にお礼と二度目の林芙美子に関する取材をすることであった。あまりにも内容の濃い取材のため何回かにわたって紹介したいと考えている。
長野駅に着いたのは十一時半頃、喫茶店でコーヒーとケーキを食べながら取材の準備をすすめる。取材旅行のメンバーは先月長野を訪れた四人。文芸評論家の山崎行太郎氏、江古田文学林芙美子特集を担当している山下聖美准教授、大学院生で林芙美子研究をすすめている藤野智士君。タクシーで山本宅に到着したのが一時。山本御夫妻に歓待され、まずは居間で奥さん手作りの御馳走に預かった。とても初対面とは思えない和やかな雰囲気のなかで話がはずんだ。今回はその時の場面を紹介したい。








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http://d.hatena.ne.jp/dokuhebiniki/20110625/1308968942

二階の部屋で、いよいよ山本氏を囲んで林芙美子の取材に入ろうと思ったが、氏は「北信ローカル」に連載した「角間を愛した文人たち」で取り上げた吉川英治川端康成の人生にまつわる話を始めた。この話がめっぽう面白く、一時、川端康成を熟読していた山崎行太郎氏は熱心に質問などしていた。一通り話がすんだ後、林芙美子の角間における話へとすすんだ。角間における芙美子に関しては未だ不明な点も多い。微妙な問題もからんでおり、研究には慎重を要する。山本氏の著作『梅は匂ひよ、人は心よ』は足で歩いた実証的な研究であるが、発表にあたっては配慮が行きとどいている。ここでは具体的な指摘はしないが、作家の生涯に照明を与える研究は、途方もない時間を必要とする。この日、わたしたちは山本氏の優しさと、心に直に触れることができた。何度も階段を往復し、ジュース、コーヒー、すいか、お菓子を運んでいただいた奥様にはお礼の申し上げようもない。途中から山本氏の著作の写真撮影を担当しているひとが訪ねてきたが、なんとこの人は日芸写真学科卒業生の小原晴雄さんで、聞けばわたしと同じ年に日芸に入学した同窓生であった。話は急遽、林芙美子から大学紛争時の話で盛り上がったりした。










日芸同窓生の小原晴雄さんと。