「マンガ論」第二回目の講義の感想

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五月九日の「マンガ論」(つげ義春の「チーコ」第二回講義)の授業風景と受講生の感想を載せます。演劇学科演技コースの学生たちの熱演によって授業は一気に盛り上がります。この日は一度死んで復活する〈チーコ〉や、狂気を眼だけで表現するなど、高度な演技を要求したりしました。授業はビデオ撮影していますので、いつか受講生にも見せたいと思っています。自分たちが参加している授業がどのように演出・構成されていくのか、客観的に見るのも勉強になるでしょう。





再構築で読む「チーコ」で、チーコ=女になっている事に驚きました。最初に読んだ時は普段と変わらない日常を描いているもので、あんまり面白くないなと思っていたのに、チーコが殺される→男が女を殺しているという暗く、怖い作品で、あの表紙も3パターンでとらえられるという新しい見方で見ることができました。他の名作もそういうように書かれているのかと思うと次回からの授業が楽しみです。
(演劇 幸本直子)


後半の、男性がチーコを死なせてしまうシーンが「チーコ=女性である」ということを次々と示しはじめるという講義がとてもおもしろかったです。窓があいているのに外へ出ていかないチーコも、女性自身である、というとらえ方には思わずなるほどと思いました。短いながらとても完成度の高い作品ですね。
(演劇 芳尾まどか)


鳥を演じるのは初めてだったのでむずかしかったです。
鳥(チーコ)を女性に例えるといっきに演じやすくなった気がします。楽しかったです!
(演劇 谷口桜子)


こんなに短いマンガをこんなに深く考えることがはじめてだったのでとても参考になりました。
普段私も台本をよむ機会がたくさんあるのですが、もっと深くよみとろうと思いました。
(演劇 平田栞)


解釈が加わることにより、理解がより一層深まって面白かったです。
手に取るように共感してしまいました。マンガ論を受けてからマンガの読み方が変わりました。
(共感した部分についてですが、どうして女の人はああいうダメ男風味の人に惹かれてしまうんでしょうか。。。)
(文芸 西村夢音)


チーコという素材と女性が同じ、という再構築にとても驚きましたが、納得できました。男性がチーコにしてしまったことは一歩間違えたら女性にしてしまったことであり、男性が女性を失ってしまったという風にも感じられました。
先生のおっしゃるとおり、男性と女性の関係はすでには破局してしまっているように思えますが、今後の2人がどうするのか、一緒にいつづけるのか別れて大変気になりました。私は、何だかんだ2人は一緒にいつづけると思います。
(演劇 増渕果夏)


1回目の授業で自分が読んだ時には「文鳥が死んでしまう悲しいお話」程度の認識しかありませんでした。なのでまさか、文鳥と女性がリンクしてしまう怖いお話だとは解釈していなかったのでとても驚きました。
そして、表紙にもいくつもの意味が込められているということも新しい発見でした。
(演劇 清水貴子)


まさかチーコと奥さんをシンクロさせて考えるという発想はなかったので、新たな見方が発見できて面白かったです。
佐渡人形の意味するものを知ってしまったので、男がチーコと戯れるシーンが不気味に思えて仕方なかったです。
(文芸 菊池千夏)


今回の説明は前回より衝撃が大きかった。
「チーコを妻として見る」だけでこんなにも作品に深みが出ることに感動した。平和に包まれているが死んでしまうチーコ。生きたままにして死んでいるような生活を送る妻。これをふまえて読み返すだけで全く違ったマンガの様に見えた。また、スコップを持って、「居なくなった」チーコを探す妻の説明を聞いた時はゾっとした。妻は夫のことを全く信用していないのが初めて前面に出たシーンだと思う。
また、1コマ目の解釈の仕方も面白かった。演技を見た時、このコマは単純に見えて、こんなにも表現しづらいものなのだとおどろいた。
(放送 宮粼 香奈子)


今回も引き続き面白かったです。いわれてみれば、確かにチーコが死んだ後の女性の行動は不気味です。一生懸命土を掘り返したり、絵であるはずのチーコに何度も呼びかけたりしています。飛び立つ絵に「チーコチーコ」といっている吹き出しも、弱々しくもどこか依存性のような狂気を感じますね。受けごたえのある授業です。
(文芸 梅野慎依子)


黒のベタ塗りの土佐人形に驚きました。前半にケースまで描かれているとは…。何とも深いですね。つげさんは。更なる新発見が楽しかったです。
(デザイン 進川葉子)


マンガはただ文字を追って読むだけじゃなくて、1コマ1コマの中にある”物語をより深く読むためのヒント”を見つけることも楽しみの一つなのかなと感じました。
(デザイン 大畠純)


チーコと妻がココまで密接につながっていったとは思いませんでした。ピースのたばこの箱に込められた意味も驚きです。このチーコという作品のおかげでこの作者に興味を持ち、この作者のマンガ集を借りて読みました。次の授業で読んだマンガが題材になるかもと楽しみです。
(文芸 岩澤龍)


今日の講義でも、また新しい発見がたくさんあった。特に、チーコが子の女性とイコールであるというのは「なるほど」と思わされた。今日でチーコは終わったが、はじめに自分で読んで感じたものとは全く別の作品となって終着した。おもしろかった。
(演劇 冨士あゆ)


パワーっていうよりも風圧みたいなものを「チーコ」から感じた。読み手の力が問われると思った。わたしは、凄い作品には”空っぽでも中心には生命がある”と思っていて、それをチーコにも感じた。
(文芸 木村優子


今日の授業を受けて、印象に残ったことを考えたことがあります。印象に残ったのは、奥さんが本当に“テンデカッコイイ人”に出会ったのかという考察についてです。作品に描かれていないことは自由に考えていいのだと改めて知ることができました。
今まで平たく読んでいた作品も、これからは奥の方まで読めそうです。考えたのは、もし表紙のチーコが復活したチーコなら、奥さんもいつかは幸せな未来に羽ばたけるんじゃないかということでした。
(文芸 蔭久結)


・一番最初のページのチーコにそんな見方があるとはわからなかった。
・マンガの細かいところまで目を通すようになった。
・10ページから11ページにかけて急に話が飛んでいる気がした。少しだけ違和感
・やっぱりチーコはなぜ鼻毛を抜いたのだろう。
(映画 中村蒼


ベタ塗りの人形、怖いですね。チーコと女の人がかぶって見えるだなんてまったく考えてなかったです。想像って凄いですね。
(演劇 猿田未来)


演技を取り入れた授業なんて初めてでした。新鮮で楽しかったです。
(写真 土屋海太)


「チーコが女のあり様を体現している」ことが分かったとたん、ものすごくチーコという作品が深いことを思い知りました。こういう演出がしたい!
(映画 河合真子)


今日初めて授業を受けました。マンガの中にこんなにも情感や哀しみがつまっているとは思いませんでした。おもしろい発見でした。
(映画 西中千晶)