『林芙美子と屋久島』の校正

本日は喫茶店をはしごして七時間ほど『林芙美子屋久島』の校正をする。ほとんど完成していたと思い、校了にしよう思っていたが、リラックスして本文を読み始めたら田代別館の女将の名前房枝が房江になっていた箇所があり、名前だけに注意して読み返したら、芙美子がどういうわけか扶美子になっている箇所が何箇所かあり愕然とした。今の時期、大学は入試が続き、会議は続きでとにかく時間の余裕がない。しかしそんな弁解は通用しない。気をひきしめて校正することにした。誤字脱字とは別に、もうひとつ厄介なのは林芙美子のテキストにもある。読者の読みやすさを考えて、初めはすべて新仮名づかい、新漢字に統一しようとしたのだが、「屋久島紀行」は使用したテキスト通りに旧漢字と旧仮名づかいに、そしてルビまで付けることにしたので、その作業にいやなほど時間がかかる。前に『清水正宮沢賢治論全集』第一巻を刊行した時にも、賢治の童話『注文の多い料理店』を原則的にすべて賢治生前のテキストで引用したことで、ほとほと疲れた。今回はページ数が少ないので、宮沢賢治論全集の時ほど疲労感ははげしくないが、いずれにせよわたしは校正に時間がとられることに生理的に嫌気がさす。はやく終了して解放されたい。
柏の喫茶店で四時間ほど校正した後、息抜きに太平書林に寄り、本を三冊ほど購入し、我孫子のスタバでコーヒーを啜りながら再び校正に励んだ。