江戸東京博物館・企画展「東京復興」を観る

ここをクリックしてください エデンの南   清水正の林芙美子『浮雲』論連載    清水正研究室  
清水正の著作   D文学研究会発行本
八月二十一日は午後から両国へ江戸東京博物館・企画展「東京復興」を見に行く。現在、私は林芙美子の『浮雲』について批評し続けているが、主人公の富岡兼吾と幸田ゆき子が敗戦後の日本へ引き揚げて来たのは昭和二十一年である。荒廃した東京を舞台に二人の腐れ縁は続く。企画展「東京復興ーカラーで見る昭和20年代東京の軌跡ー」の展示構成の[2]「オキュパイド・トーキョー」や[4]「米兵たちの見たTOKYO」は『浮雲』の背景となった敗戦後の東京を知るうえで貴重な写真や映像を提供してくれる。大空襲の惨劇から復興へ向けてのたくましい姿が映し出されている。日本は徹底的に攻撃され、無条件降伏した。敗戦後六十五年たった今も、その事実は依然として変わらない。『浮雲』の富岡兼吾は今の日本にそのまま生きている。