「マンガ論」第九・十回目は日野日出志の「蔵六の奇病」をとあげる

ここをクリックしてください エデンの南   清水正の林芙美子『浮雲』論連載    清水正研究室   清水正の著作

「マンガ論」第九回目(2010/6/21)は実存ホラー漫画家・日野日出志の「蔵六の奇病」を読んだ感想を書いてもらう。第十回目(2010/6/28)は「蔵六の奇病」の講義。演劇学科の受講生による迫真の朗読で教室を盛り上げた。



受講生の感想

いちばん身近で守ってくれるはずである家族でも、置かれている状況によっては、見捨てられることもあるのだと思った。母も最後まで蔵六を気にかけてはいたが、結局村という共同体を選んだ。変わり者やその人にかかわる人は白い目で見られるというのは世の常であるのか。
(放送 宮川晃典)


言葉を話すことのできない蔵六が、夢の中で殺された時、初めて「おっかぁ」と声を発していた・・・ということに気づき、八ッとしまた。演劇学科の方々の演技とあわせて切り込みを入れていくことが出来たので、良かったと思います。
このマンガが一年間もかけて制作されていたという事実を知り、驚きました。
(美術 石井悠子)


蔵六に見せないようひっそりと涙を流すおっかあのシーンはとても切なかったです。母の愛情を強く感じられるのに、それを蔵六に伝えることはもはや許されることではないのだと思うと、これはなんと悲痛な物語なんだと感じました。
(文芸 亀本実世)


マンガ家が故意に山の描き方や結末に乗っ取って描いているのではないとしたら天才だと思った。正直この物語や絵は気味が悪くてあまり深入りしたくないけど、じっくり見ていくとよくできた作品なのですね。細部まで意味がいきわたっていてすごいと思った。
(演劇 鶴巻美加)


ねむり沼の意味は自分の見解と合っていて嬉しかった。前に出て発表できて楽しかった。
日本人はコミュニティー内で生きることに重点をおいているから蔵六のような逸脱した存在の人物が世の中で生きる人は難しいと思った。
そんなに汚くても人間としての強さを持った蔵六は綺麗だ。
(演劇 森永志音)


このマンガの雰囲気は、何度読んでも慣れない。蔵六以外の人物が極めて人間的であるからだろうか。胃がもたれる。
それにしても演技をやって下さった人たちが素晴らしすぎます。まさか笑えるとは思えなかったです。スピード感や臨場感が最高。
(放送 江越美紀)


昔の今よりも自由でない時代で蔵六と太郎の立場と生き方の対比がよく描かれていると思った。太郎は一見ひどいように見えるけど、自分の身として考えてみると辛い立ち位置だと思った。1回目の演劇学科のみなさんの演技が息がぴったり合っていて感動しました!
(文芸 佐野友美)


とりあえず今日の授業を聞いて、蔵六が気持ち悪いと思うことはなくなりそうです。
しかし今までに見たことないタイプの絵柄で新鮮でした。
演技コースの方々の演技、素晴らしかったです。
(文芸 眞柄冬音)


マンガの奥深さを知った・・・。醜い中の最上の美しさ・・・。私も蔵六のようになっりたい。
(美術 横山真優)


こんな気味の悪いマンガは生まれて初めてです。画力がすごい。気持ち悪いウミを最終的に美しい色にしている。すごいと思った。
(美術 櫻井ゆきみ)


前の授業で『蔵六の奇病』を読んだとき、あまりにグロテスクで、もう二度と読みたくない、と正直思いましたが、演劇学科の方々のおかげで楽しくマンガを読むことが出来ました。ありがとうございました。
きれいごとについてちょっと考えたくなりました。
(文芸 三矢日菜)


『蔵六の奇病』は本当に不気味な作品だと思いましたが、講義を聞いて蔵六を守ろうとするも、守りきれない母や蔵六の母に対する絶対の信頼感と裏切りに感動と切なさを抱きました。
(文芸 伊藤景)


演劇学科のみなさんの演技もさることながら、先生の解説には毎回びっくりさせられます。
お母さんの涙にはびっくりしました。
(文芸 粼田麻菜美)


母なる存在は凶器にもなるのだな、と改めて確認することが出来ました。
(文芸 藤塚玲奈)


長男役を演じることで母や村のことを思う気持ちもわかった。
(演劇 新井俊一)


演劇の方々が凄い上手で、改めてストーリーを感じました。効果音とかまさにそんな感じで。
蔵六のことからキレイ事は言えないと先生は言っていましたが、まったくその通りだと思いました。最後に可愛いのは誰しも我が身だと思います。
(文芸 篠崎早貴)


レポートを書いてからテキストを読解すると色々と勉強になる。筆者を感動させる批評をする、といった発言には感動しました。
(美術 梅原康平)


蔵六の描いた絵をみたいと思った。蔵六が亀になったのはいいが、残されたたくさんの絵の行方がどうしても気になる。
(文芸 村上絵梨香)


蔵六が「おっかぁ」としゃべったことは、先生の話を聞くまでわからなかった。
(映画 大関奈緒


蔵六のモチベーションをいつか理解できるようになりたい。
(映画 星潤哉)


マンガを声に出して読むことは今までなかったのでそれも面白いと思った。
(演劇 向井うらら)


初めて前に出てみました。蔵六を演じてみました。あまりしゃべらなすぎて、びっくりしました。楽しかったです。
(演劇 荒弓倫)


先生のテキスト解体と再構築はいつも面白くて感動します。ありがとうございます。
(文芸 菅谷七海)


読み直すと悲しい気持ちになりました。蔵六の純粋さは凄いものだと感じました。
(文芸 中島沙耶香)