〈林芙美子〉を探す旅 旅館巡りから竹久夢二記念館へ

清水正研究室」で『浮雲』論を連載していますがここを 林芙美子の文学(連載147)林芙美子の『浮雲』について(145)クリックすると、富岡とゆき子が伊香保に着いた場面が批評されています。
清水正の林芙美子『浮雲』論連載    清水正研究室   清水正の著作   エデンの南 
平成22年4月30日(金曜)
朝8時、七人で岸権旅館の食堂で食事。食後、読書室のパソコンで清水正ブログを見る。十時前、読書室で山下さんと合流、昨日の夜、男たち四人がゾッとした絵をみる。一度見たら忘れられない、魂の深部に奇妙な、薄気味悪いインパクトを与える。純真無垢な黒い瞳に何か解消しきれない思いがこめられている。旅館を出る前に女将に聞くと、大正九年に旅館が全焼、その後買い求めたうちの一枚で画家の名前は天斎ということであった。

林芙美子の『浮雲』研究で来ているというと、女将が「森秋」旅館を紹介してくれる。途中「金太夫」で林芙美子の展示された資料を見る。「森秋」に行くとホテル「木暮」を紹介される。若女将の木暮美奈子さんに「段々豆腐」の主人山本修氏(元「徳富蘆花記念文学館」館長)を紹介される。山本氏の父親が日芸映画学科の出身ということで話がはずむ。山本氏から林芙美子の資料は「金太夫」の先代がたくさん蒐集されていたことを聞くが、先代が亡くなられてからは資料が散逸してしまったということであった。

竹久夢二伊香保記念館」館長の木暮享氏と記念撮影

次に竹久夢二記念館を訪れ、その展示物のなかに「金太夫」の先代の弟さんが夢二記念館の館長であることが学芸員の方の話で判明。名刺を渡すと出張中の館長に連絡がとれ、是非会いたいとのこと、そば屋で食事をし、館長の帰りを待つ。少し遅れるとのことで、その間、「蓄音器オルゴール博物館」でオルゴールの歴史と音楽を聞く。高峰三枝子のサボテンの針による蓄音器からの音色に心穏やかになる。

館長の木暮享氏と会い、静かな落ち着いた部屋でお話を伺うことができた。林芙美子の資料は館長の兄木暮金太夫敬(こぐれきんだゆうたかし)氏が『浮雲』を中心として相当の資料を集めていたこと、敬氏の長男の時代に倉一杯の資料は売却されたが、今現在その資料の在り場所はわかっているとのことであった。

木暮館長とは、夢二記念館での林芙美子特別展示会の開催などについて基本的な合意を得た。来年は林芙美子没後六十記念としてさまざまな企画が展開されるだろうが、わたしが主宰するドストエフスキー研究会ではまず著作「林芙美子ドストエフスキー」を刊行しようと思っている。

館長木暮享氏のお話をうかがっていると、静かな口調のなかに純粋な情熱がじかに伝わってくる。伊香保温泉の宣伝のためではなく、林芙美子の『浮雲』のすばらしさが多くの人に伝わるようにお互いに努力しましょうという言葉には心底感動した。帰り享氏はバス停留所まで歩いて送ってくださった。

昨日、今日と今回の研究旅行はぐうぜんの重なりが必然と思えるほど、すばらしいひとたちとお会いすることができた。伊香保竹久夢二記念館での「林芙美子特別展示会」に関しては、日芸マスコミ研究会とも協力し、記念館と綿密な打ち合わせを重ねてすばらしいものにしていけたらと思っている。いずれにしても、館長木暮享氏との偶然で必然の出会いは、われわれ訪問者七人の胸にさわやかな感動の風を送っていただきました。

渋川駅のプラットホームで七人は虹の光景を見、歓声をあげました。

写真でつづる林芙美子を訪ねる偶然で必然の旅。「岸権」の旅館に掛っていた「一幅の女性画」から、「金太夫」旅館、「森秋」旅館、「木暮」ホテル、「段々豆腐」、「竹久夢二記念館」、そして渋川駅での「虹の出た光景」に至る神秘的な軌跡をご覧ください。


岸権旅館の読書室にて

岸権旅館の展示室にて。竹久夢二の作品

岸権旅館のロビーにて。女将の岸三根子さんと記念撮影。

「金太夫」旅館

「金太夫」旅館の七階 林芙美子関係の資料展示
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清水正の林芙美子『浮雲』論連載


「金太夫」旅館の七階 林芙美子関係の資料展示

「金太夫」旅館の七階 林芙美子関係の資料展示

「金太夫」旅館の七階 林芙美子関係の資料展示

「金太夫」旅館の七階 林芙美子関係の資料展示

「金太夫」旅館の七階 林芙美子関係の資料展示
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「金太夫」旅館から「森秋」旅館へと向かう

「森秋」旅館

「森秋」旅館

ホテル「木暮」

ホテル「木暮」の若女将木暮美奈子さんと大木伸一さん。

「段々豆腐」主人・山本修氏(元「徳富蘆花記念文学館」館長)に話を聞く

山本修氏と記念撮影

山本作右衛門商店 伊香保の名産「段々豆腐」

「段々豆腐」から「竹久夢二記念館」へと向かう

財団法人「竹久夢二伊香保記念館」

財団法人「竹久夢二伊香保記念館」

財団法人「竹久夢二伊香保記念館」

財団法人「竹久夢二伊香保記念館」

「手打そば処」

「手打そば処」

「手打そば処」

「手打そば処」

「手打そば処」

財団法人「竹久夢二伊香保記念館」別館「音のテーマ館・オルゴール・蓄音器」にて

財団法人「竹久夢二伊香保記念館」別館「音のテーマ館・オルゴール・蓄音器」にて
高峰三枝子の歌声に耳を傾ける。

竹久夢二伊香保記念館」館長の木暮享氏にお話しをうかがう。

館長の木暮享氏

館長の木暮享氏から兄(先代「金太夫」)に関する貴重な証言が得られた。

館長の木暮享氏。美術展示における茶室方式には共感した。

来年は林芙美子没後六十年。夢二記念館における「林芙美子特別展示会」を提案。発展的な同意を得る。

木暮享館長と記念撮影

学芸課長の石橋久美子さんと名刺交換

木暮館長と記念撮影。来年はすばらしい林芙美子特集ができそうだ。日芸マスコミ研究会顧問の山下聖美さん(右)は来年「江古田文学」の林芙美子特集を担当する。館長の話を聞きながら竹久夢二林芙美子に共通するものを感じた。林芙美子は貧乏、放浪というイメージが浸透しているが、わたしは林芙美子に高貴な精神性と品格を感じている。夢二記念館全体に漂っている静謐さとダンディズムは館長のお人柄が反映している。この記念館で林芙美子展示会が実現すれば、芙美子の高貴な精神性が注目されることになるだろう。

木暮館長はわざわざバス停留場まで送ってくださった。長兄(先代「金太夫」)に対する尊敬の念、夢二に対する愛と情熱がひしひしと伝わってきました。

渋川駅プラットホームにて

虹のかかった光景に接し、今回の研究旅行のすばらしい出会いと輝く未来を感じました。